砂浜に描いたうたかたの夢
ゼエハアと呼吸を繰り返す私達。


確かに瞳がキラキラ輝いてたし、声も弾んでた。

スピッツくんが吠えなかったら、根掘り葉掘り聞かれて質問責めに遭っていたかもしれない。

ありがとう、白き警報のワンちゃん。


休憩を終えて、田んぼに囲まれたあぜ道を進むこと、数分。



「ねぇ、裏道って、まさかここ通るの……?」



先導する彼の背中に恐る恐る問いかけた。

視線の先にあるのは、草木が生い茂った山。

左右を見渡しても通れそうな道は1本もなく、真っ直ぐ続いている。



「うん。道路沿いだと遠回りになるから。ここが1番の近道なんだよ」

「えええ……」



小さく悲鳴を漏らすも、聞く耳持たず。「さ、行くよ」と言って、凪くんは山の中へ。


ううっ、そんなぁ。もっと明るくて地面が安定してる道はないの?

不満をこぼしたかったが、他に行く道もないため、意を決して後を追うことに。



「足元、気をつけてね」

「う、うん」
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