砂浜に描いたうたかたの夢



──ミーンミンミンミンミン……。



「はぁ……最悪」



夏を感じさせる鳴き声が聞こえる祖父母の部屋で、化学のプリントに向かって溜め息をついた。

最悪なのは化学の宿題ではなく自分。二度寝に失敗した自分自身に対してだ。


第1章の問題を解き終え、シャープペンを置いてちゃぶ台に突っ伏す。


予定では、5時台に散歩に行き、6時台に帰宅。7時になる頃に朝食を取って、8時には宿題に取りかかるはずだった。

それなのに、宿題を始める時間に起きるなんて。待ち合わせの時間に起きるみたいなものだよ。

っていうか、二度寝で3時間って、いくらなんでも寝すぎ……。学校の日だったら完全に遅刻してる。夏休み中で良かった。


休憩していたらまぶたが下がってきたので、肩をぐるぐる回して眠気を飛ばす。

夏休みに入ってから、いや、その前から、自由研究の観察のために早起きしていて、二度寝することは一切なかった。


ではなぜ今朝は睡魔に負けたのかというと……。
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