【激辛エロティックホームドラマ】いやたい水着
めめぐろしい娘(でもどり)
9月20日の朝10時頃であった。

家の台所でもめ事が発生した。

もめ事の原因は、卓が焼きいも3つを食べようとした時に静江の3人の子どもたちが入ったことであった。

卓が3人の子どもたちを怒鳴りつけたので、子どもたちワーワーワーワー泣き出した。

この時、通りかかったあやみがあわてて卓を止めた。

卓は、あやみに止められたことに腹を立てた。

あやみは『この子たちは、お腹がすいたというてるのよ…』と泣きそうな声で卓に言うた。

卓は、やる気ない声で『分かった…』と言うて焼きいも3つを子どもたちに譲った。

「おじさん、ありがとう…」

許してもらった3人の子どもたちは、焼きいもを手にした。

卓は、このあと台所から出て行った。

それから2分後であった。

静江が大きめのサックスバーのスーツケースを持って、台所にやって来た。

(パチーン!!パチーン!!パチーン!!)

静江は、3人の子どもたちを平手打ちで叩いたあと焼きいもを取り上げた。

3人の子どもたちは、より大きな声をあげて泣いた。

「だれが勝手に食べてもいいと言うたのよ!?ほやけん叩かれたのよ!!おかあさんの言うことを聞きなさい!!」

端にいたあやみは、あわてて静江を止めた。

「やめてください!!やめてください!!」
「なにするのよ!?」
「なんで子どもたちにひどいことするのですか!?」
「口出ししないで!!この子たちをしつける権利は、アタシにあるのよ!!」
「静江さん!!どうしておだやかに話しができないのですか!?」
「やかましいよそ者!!」

(パチーン!!)

静江は、よりし烈な力を込めてあやみの顔を平手打ちで叩いた。

叩かれたあやみは、半泣きの声で言うた。

「なんでアタシを叩くのよ…どうしておだやかに話し合いができないのよ…」
「はぐいたらしいよそ者ね!!おだやかに話し合いできん原因を作っておいて、えらそうに言うな!!」

あやみを怒鳴りつけた静江は、3人の子どもたちに『必要なものだけ持ち出しなさい!!』と言うて命令した。

3人の子どもたちは、静江がこわいので命令にしたがった。

ところ変わって、いよてつ郡中線の踏切がある松前町内の通りにて…

(カンカンカン…ゴトンゴトン…)

踏切に、松山市駅行きのいよてつ電車が通り過ぎた。

静江と3人の子どもたちは、ぼんやりとした表情でたたずんでいた。

静江は、家出した際にスマホを置いて出た。

静江母子4人は、茂西の家に居場所をなくした。

静江は、家出する際にあやみに『アタシは、気力さえあればどこの事業所でも働けるわよ!!』とタンカきった。

しかし、ワレに返った時にはもう遅かった。

大学を卒業したあと、就職せずに家事手伝いをしていた。

中学高校の時に、英検や漢検の資格を取らなかった…

高校3年生の時に、ファイナンシャルプランナー3級の講座を受けたが、試験を放棄したので資格が取れなかった。

はじめ夫婦は、静江がファイナンシャルプランナー3級の資格がもらえなかったことを聞いても『静江に資格なんてネコにコバンだ…』と言うて甘やかした。

静江が松山市内の女子大に進学した時も、はじめ夫婦は『大学生のうちは大学を楽しんでこい。』と言うて送り出した。

その結果、静江は社会に順応しない大人になった。

どうしよう…

どこへ行けばいいのか分からない…

実家と夫方の家と不仲になった…

おだやかに話し合いができなくなった…

もう、おしまいだ…

日付が変わって、9月21日の深夜0時半頃であった。

JR予讃線の北伊予駅の近くの踏切で、人身事故が発生した。

伊予市駅へ向かっていた回送列車が人をはねた…

回送列車にはねられたのは、母子4人であった。

はねられた母子4人は静江母子4人であったが、身元を証明できるものがなかったので、ケーサツは身元不明者として処理した。

なので、ケーサツは灘町で暮らしているはじめ夫婦に電話しなかった。

それから7時間後の朝7時過ぎであった。

家の大広間に、はじめ夫婦と紀世彦とあやみがいた。

卓は、家族たちに『職場から1時間早く来てくださいと言う電話が来たから…』と言うて家を出たので、食卓にいなかった。

テーブルの上には、あやみが作った朝ごはんが置かれている。

あやみは、台所でみそ汁を温めなおしていた。

はじめ夫婦は、紀世彦に朝ごはんを食べようと言うた。

「紀世彦、一緒にごはんを食べよう。」
「みそ汁は、今あやみさんがあたためなおしているわよ。」
「ゆっくりとかんで食べればみそ汁は温まるよ。」

紀世彦は、はぶてた(ひねた)声ではじめ夫婦に言うた。

「その前に…話があるんや。」
「話。」
「ああ。」

かなえは、つらそうな表情で紀世彦に言うた。

「それだったら、ごはんのあとにしてくれる?」
「今、話さないとアカンのや!!」
「おかーさんは、朝ごはんを食べたあとにしてっていよんよ…」
「ほな、いつになったら聞いてくれるのだ!?」

紀世彦が急に怒鳴り声をあげたので、かなえはつらそうな表情で言うた。

「おかーさんは、朝ごはんを食べてといよんよ!!」
「もうええ!!…職場から11月1日付けで異動になったことを伝えようとしたのに…あんたらがあとであとでと言うけん、話にならん!!」

それを聞いたはじめは、紀世彦にどこへ異動するのかをたずねた。

「紀世彦…どこへ異動するのだ?」
「今治の支店!!」
「今治。」
「ああ!!」

紀世彦は、ひと間隔置いてはじめに言うた。

「入行してから28年間、ずっと本店勤務でガマンしたからもういいよと言うことや…ファイナンシャルプランナーの資格を取得したので、ぎんほ(いよぎんの保険プラザ)で保険のプランニングがしたいと思いながら、ずっとガマンしてきたんや!!…ガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンして…本店で札束を数える仕事だけをずっとしてきたんや…やっと…自分がやりたかった保険のプランニングの仕事ができる…ほやけん、決めた…」

紀世彦の話を聞いたはじめは、おだやかな声で言うた。

「紀世彦が入行してから28年間本店でまじめにがんばっていたことは、わしらも知ってるよ…それで、今治へ異動したあとはどうするのかね?」

はじめの問いに対して、紀世彦はこう答えた。

「(今治新都市の)イオンモールの中にある保険プラザヘ移る…」

はじめは、あつかましい声で紀世彦に言うた。

「そうじゃなくて、住まいはどうするのかと聞きよんじゃ…また、従業員寮に入るのか?」

はじめからあつかましく言われた紀世彦は、あつかましい声で言い返した。

「従業員寮の他に、どこがあると言うんぞ!?」

はじめは、よりあつかましい声で紀世彦に言うた。

「従業員寮の他に住むあてはないのかと聞きよんや!!」

かなえは、つらそうな表情で紀世彦に言うた。

「紀世彦、職場の人に異動先を変えてくださいとお願いしてよぉ…おかーさんは心細いのよ。」

紀世彦は、怒った声でかなえに言うた。

「そんなこと言うたら、『出向せえ!!』と言われるんや!!」

かなえは、泣きそうな声で紀世彦に言うた。

「それでもいいから言うてよ…」

紀世彦は、よりけわしい声でかなえに言うた。

「その場合には、妻鳥町(めんどりちょう)の製紙工場ヘ出向になる…」

はじめは、おどろいた声で言うた。

「妻鳥町って、川之江じゃないか…」

紀世彦は、はじめ夫婦に理由を言うた。

「上司が川之江の支店に在籍していた時に…融資担当をしていたから…その関係で…」

はじめは、紀世彦に『断れ!!』と言うた。

紀世彦は、怒った声で言うた。

「そんなこと言うたら『オドレはクビだ!!』と言われるんだぞ!!それでもいいのか!?」
「しかしだな…」

(ガーン!!)

紀世彦は、立ち上がったあと右足で席をけとばした。

そして、黒の手提げを手に取った。

紀世彦は、怒った声ではじめに言うた。

「あんたらは、オレにどーせえと言うんぞ!?心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い…オドレらは、なにが心細いんぞ!?」

かなえは、泣きそうな声で紀世彦に言うた。

「紀世彦、どうしておだやかに話ができんのよぉ~」
「あんたらが心細いと言い続けよるけん怒っとんや!!」
「おかーさんは、本当に心細いのよ!!(次男)と(三男)と(四男)が出稼ぎに出たまま帰ってこないので心細いのよ…」
「そのような原因を作ったのはあんたらや!!あんたらのせいで農機具を買いかえることができんかった…あんたらのせいで田畑が荒れまくったんだ…そして…西日本豪雨(平成30年7月豪雨)で全てをなくした!!…そのことに気がつけよ!!」

はじめ夫婦に怒りをぶつけた紀世彦は、朝ごはんを食べずにそのまま家を出て行った。

困ったわね…

どうすればいいのよ…

はじめ夫婦は、つらそうな表情で紀世彦の背中を見つめた。

(ザザーン、ザザーン…)

さて、その頃であった。

さおり母子4人は、川之江から国道11号線を歩いて観音寺(香川県)までやって来た。

母子4人は、有明浜のビーチにいた。

この日、海は少し荒れていた。

空は、灰色の雲に包まれていた。

さおりは、ぼんやりとした表情で海を見つめていた。

なおとは、ふみことまりよと一緒に波打ち際にいた。

さおりは、子どもたち3人にどうやってわびればいいのか分からず苦しんでいた。

ごめんね…

なおと・ふみこ・まりよ…

ごめんね…

こんなだらしないママを許して…
< 6 / 9 >

この作品をシェア

pagetop