あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
気づかれたくないのに、気になってチラチラとその人を確認したくなる自分がいる。


激しい動揺が私を襲い、動かそうとする手が言うことを聞かなかった。


「真斗(まさと)君! お迎えにきてくれたわよ、いらっしゃい」


「はーい!」


先生に呼ばれて、真斗君は遊ぶ手を止めて大きな声で返事をした。


そして、一目散にその男性へと走り寄り、長い足にしがみついた。


「慶都おじさん! 来てくれてありがとう」


「真斗、いっぱい遊んだ?」


チラッと見たら、その人はオシャレで高そうなスーツがシワになるのも気にせず、子どもの目線までしゃがんで話しかけている。


その男性のことを、真斗君は確かに「慶都」って呼んだ。


顔も、声も、名前も……同じ。


まさか、本当にあの人なの?


「うん。楽しかったよ! 早く一緒に帰ろう~」


「そうだな、パパのところに帰ろう。先生、ありがとうございました」
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