あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
雪都の本当の父親が誰なのかを知ったら……


そう思うと、父にも麗華にも申し訳なくて苦しい。


麗華のいない時に実家に戻ったりしてる自分が、コソコソしててすごく嫌だったけど、妊娠がわかった時も「父親のいない子を産むなんてどうかしてるわ」と散々言われ、私の中で麗華に対する感情は複雑なままだった。


妹なんだから、できることなら家族として笑顔で話したい。


なんでも相談し合えるような存在になれたらどんなに嬉しいだろうか。


今まで何度もそう思ってきた。


でも……その願いは叶わず。


今の私には麗華との距離を縮める方法なんてわかるはずもなかった。


麗華のことになるといつも冷静な判断ができなくなる。


情けないよ……私はお姉ちゃんなのにね。


母親、仕事、家族……


まだまだどれをとっても未熟で中途半端な自分。


年齢だけは当たり前に増えていくのに、中身は全然伴わなくて。


だけど、母が私をここまで育ててくれたように、今度は私が1人で雪都を育てなきゃいけないんだ。


母親と、そして父親としての役目も、できる限り頑張りたい。


みんなに甘えてばかりじゃいけない。


雪都がいるこの生活を幸せだって思えることに感謝して、しっかり地に足をつけて1歩前に踏み出していきたい。


必ず幸せにするよ。


誰が何と言おうと、雪都は私が守り抜くから。
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