あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
「ちょっと止めてよ、弥生。社長令嬢なんて、私はそんな良いもんじゃないから」


恥ずかしくて慌てて否定してしまった。


「全然知らなかったです。初めて知ることばかりで、彩葉先生のこと、僕は何もわかってなかったんですね」


なぜか肩を落としている理久先生。


「ちょっと、そんなしんみりしないでよ。彩葉と理久先生は、別に付き合ってるわけでも夫婦でもないんだし、知らなくて当たり前でしょ?」


「そ、そうですよね。すみません」


「なんで謝るの? 理久先生、今日ちょっと変だよね」


「弥生、もう私の話はいいから。それより理久先生、保育士になるっていう夢は叶ったけど、これから先の『夢』ってあるの?」


違う話題に逸らしたかったのもあるけど、それと同時に、本当に理久先生の夢を知りたくなった。


「僕の夢……それは保育園の園長になること、っていうか、自分の小さな園を開いて、結婚して奥さんと一緒に経営したい。小規模でいいから温かい家庭的な保育園をやりたいんです」


優しい眼差しで語る理久先生。
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