あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
このまま自分の想いだけで突き進んだら、結局、最後には慶都さんに迷惑をかけてしまうの?


九条グループを守っていくには、マリエさんみたいなハッキリと物事を決めれる人と結ばれた方がいいのかな?


何だか切なくて、やるせなくて、悲しい気分。


マリエさんは「答えを待ってます」と言い残して颯爽と歩き出した。


綺麗に揺れる長い黒髪の後ろ姿。


オシャレな洋服、靴、バッグを身につけて……


全てハイブランドなんだろうけど、私にはどれも似合わない。


もちろん、そういう贅沢な生活を選ばなかったのは私自身。


それを後悔してるわけじゃないけど……


ああ、もう、今日は雪都と楽しい時間を過ごすはずだったのに。


こんなにも複雑に心が揺れ、一喜一憂して、いったい私は何をしてるの?


答えが出せない毎日に、ただでさえモヤモヤしてるのに、さらに難しい問題を投げかけられた気がして。


おもちゃでごちゃごちゃに散らかった保育園の部屋よりも、もっともっと私の頭の中は整理できない状態になってしまった。


小さな子ども達にだって、お片付けはできるのに。


まだまだ人間として未熟な自分が、本当に情けなく思えて……


笑顔で私を見つめる雪都のことを、ギュッと抱きしめたくなった。
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