初恋の人
 それから一年半の月日が流れ、クリスマスが近付く十二月。
 康史からメールが届いた。

『今年は大晦日にそっちに帰るよ』

 結愛はそのメールをぼんやり眺めていた。

 ――今年はいないんだ。パパも康ちゃんも。

 毎年クリスマスは康史と一緒に過ごしていた。
恒例の、高岡家と伊藤家合同のクリスマスパーティーに、今年は康史は参加できないということだろう。
 昨年は、ちょうど今頃に春樹が亡くなり、さすがにクリスマスどころではなかったが、今年は集まりたいね、と美智子と話していたところだった。
 今まで考えないようにしてきたことが、結愛の脳裏を過った。
 康史が結愛に話さないだけであって、勿論今までにも康史にそういう相手がいたであろうことはわかっていた。わかってはいたけれど、結愛から直接康史に聞くことはなかった。
 聞くのが怖かった。

 康史は、結愛が幼い頃から抱いていた恋心に気付いているだろうか。もしそれを打ち明けたとしたら、一体どうなってしまうのだろうか。
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