黒幌に呑み込まれる
モテる
次の日━━━━━━神楽が出勤すると、職場内が騒然としていた。

「おはよう、美乃ちゃん。
どうしたの?」

「神楽。
ごめんね、前言撤回する!
黒部くん、めっちゃカッコいいのー!」

「え?」

「あ、麦倉先輩!!」

「え━━━━━黒部…く、ん…?」

そこには、まさにモデル並みの美しさと容姿の爽やかなイケメンがいた。

「はい!
おはようございます!」

「おはよう」
(か、カッコいい…/////)

「どうですか?
髪切ったんですよ!」
「うん、スッゴく、似合ってるよ!
か、カッコいい…」

「え?」
「カッコいいよ…/////」
恥ずかしくなって、つい…呟くようになる神楽。

「フフ…ありがとうございます!
あ!先輩!
………………返事、今日仕事終わったら、聞かせてくださいね……!」
にこっと笑った真幌は、神楽に耳打ちした。

「ほんと、黒部くん、カッコいい!」
美乃も、大絶賛だ。

「どうも」
真幌は、普通に美乃に言って作業に取りかかった。


━━━━━━━
それからの真幌は……“あの”真幌ではなかった。

黒部 真幌は、二人いるんですか?と言いたくなる程、器用に仕事をこなしていく。

今日は、一度も怒られることなく順調に進んでいた。

そして、昼休み。
「先輩。
一緒に、ご飯食べませんか?」

「え?あ、うん」

財布を片手に、二人で外に出ようとすると美乃や久我がついてきた。

「私も、一緒していい?」
「私もー」

「…………」

「うん。私は、構わないよ」
「…………先輩がいいなら」

「何食べる~?」

「麦倉先輩は、何がいいですか?」
「え?私は━━━━━━」

「駅裏の店に行かない?
サンドイッチが美味しいらしいし!」
久我が、口を挟んできた。
「いいですね~」
美乃も賛同する。

(サンドイッチかー、できればがっつり定食がいいなぁ)

「俺は、定食がいいです」

「「「え?」」」
神楽達が、ハモる。

「麦倉先輩、定食でもいいですか?」
「え?うん。構わないよ」

「じゃあ、俺と麦倉先輩は定食にするんで」
そう言って、神楽の手をさりげなく握り引いた。
「え?ちょっ…
黒部くん!
みんなで食べないの?」


「え?だって、サンドイッチがいいって二人が言うから。
それに!
………………俺は!!
麦倉先輩(・・・・)と!!食べたいので!」

真幌は、はっきり言い放った。
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