黒幌に呑み込まれる
「じゃあ、私も!!」
「私も行く!」
美乃と久我も、ついてくる。

真幌は、はぁーとため息をついた。
「邪魔だな…」

「え?」
「ん?何ですか?」
「あ、う、ううん…」

(今、邪魔って言ったよね?
美乃と久我先輩のことだよね?
え?え?どうゆうこと?
てゆーか、手!!
繋いだまんまなんだけどー
どうしよう…
離した方がいいよね?
………………でも、なんか…離したくないな…)

「━━━━━輩!麦倉先輩!!」
「……っあ!はい?」

「着きましたよ!」
「あ、はい!」

神楽が悶々と考えていると、いつの間か定食店に着いていた。
席につき、メニューを決める。

「私、レディース」
「私も」

「麦倉先輩は?」
「え?あ、私は……」
(トンカツ食べたい!
でもな。
ご飯は大盛じゃないと、カツが残るし……
でも、仮にも告白された相手の前で“大盛”って……
ハズイし…/////)
また、悶々と考えていると………

「神楽は、トンカツ定食の大盛だよね?(笑)」
美乃が、笑いながら言った。

「え?あ、うん…
ハハハ…」
思わず、苦笑いになってしまう神楽。

「やだー麦倉さん、真っ昼間からそんながっつくのー?(笑)」

「ハハハ…すみません……(笑)」

「じゃあ、俺も!!」
「え?黒部くん?」
「麦倉先輩の気持ちわかりますよ?
がっつり食べないと、仕事が捗らないですもんねー!
でも、そんな小さな身体でトンカツ大盛なんて……可愛いなぁー!
益々、惚れます!
てか!
俺的には、レディースの意味がわからない。
レディースはあって、なんでメンズはないのかな?
ねぇ、先輩!
そう思いません?」

「あ、そう言えばそうだね。
レディースセットってよく聞くけど、メンズってないね」
真幌がフォローして優しく微笑んできて、神楽もつられるように微笑んだ。

「でもー“普通”あんま食べれないしー
大盛なんて、恥ずかしいー」
久我が言った。

「そうですか?
俺的には、その年で“~だしぃ”とか、猫なで声出す久我先輩の方が、よっぽど恥ずかしくないかなって思いますよ?」

「なっ…////」

「“私、仕事人間だから!”って必死に言い訳してたけど、その性格だから男できないんじゃないですか?
それに!
俺、かなり久我先輩に退いてるんですけど?」

「え?」

真幌が冷めた目で見ていた。
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