年下の彼は、なぜだか私にZokkonです。
「二人はなんで知り合ったの?」

大盛りのカレーを頬張りながら、樹は訊ねた。



「なんか、気が合いそうだなって思って、私から声をかけたんです。
ランチ、一緒に食べませんか?って。」

「へぇ、そうなんだ。
三井さんは良い人だから、仲良くしてもらうと良いよ。」

「はい、そうします。
私、同年代の人より、年上の人の方がなんか合うんです。」

「俺もだよ。」

「わぁ、気が合いますね。」



陽はとても嬉しそうだ。
本当に一目惚れ?
でも、今日からバイトに入ったのなら、本当なんだろうね。
陽はけっこう冷静な子だから、一目惚れなんてちょっと不思議な気はするけれど、私も初対面の時から、樹には良い印象を感じてた。
樹は誰に対しても優しいし、真面目に接してくれる人だから。



二人は他愛ない会話を交わしながら、楽しそうに昼食を食べていた。
樹も、陽のことを気に入ったんじゃないかな。
少なくとも嫌いなタイプではないはずだ。



きっとうまくいく。



「樹トレーナー、今、彼女はいるんですか?」

「え?」

樹が私の方を見た。
私は視線を逸らし、俯いた。



樹はどう答えるだろう?
私と付き合ってることは口止めしてあるけど、それ以外のことは特には決めてない。
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