年下の彼は、なぜだか私にZokkonです。
(違う…これは良いことかもしれないわ。)



冷静に考えてみれば、これは悪いことではない。
陽が樹に告白したら…



樹も、私と陽を比べたら、陽の方に行くのが当然だろう。
樹は私と波長が合うと言った。
だったら、きっと、陽とも合うはず。
現に、陽はすでにそう言っている。



樹と陽がうまくいったら…
もしも、結婚でもしたら、樹は私の息子になる。
それは確かにショックなことではあるけれど、でも、樹と繋がっていられるのは嬉しいことだ。



(そうよ、親子だったら許される。)



私はこれから、息子として樹を愛せば良いんだ。
情熱的な愛じゃなく、家族としての穏やかな愛情で。



私の心は決まった。



これから先のことは、陽に任せよう。
そしたらきっとうまくいく。



「……恵理子さん、どうかした?
もしかして、樹トレーナーのこと、嫌いなの?」

「えっ!?
ま、まさか、嫌いじゃないわよ。
しっかりした良い子だと思ってる。」

「じゃあ、賛成?
私の恋を応援してくれる?」

「も、もちろんよ。
……彼に告白するつもりなの?」

陽はにっこりと微笑み、そして、頷いた。



陽みたいに綺麗な子に告白されたら、樹の心だって揺らぐはず。



「あ、私、こっちに座ろう。」

私は陽の隣の席に移った。
自虐的だけど、並んでいたら、陽と私の違いが殊更にはっきりすると思ったから。
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