年下の彼は、なぜだか私にZokkonです。
「わかってるよ、言わないよ。」

少し不貞腐れて、樹が呟く。



「陽さんのこと、どうするの?」

「どうするって…俺、好きな人がいるって言ったし。」

「でも、陽さんは諦めないって。」

樹は眉間に皺を寄せ、私を睨む。



「じゃあさ、小日向さんにだけ話さないか?俺達のこと。」

「だめよ、小日向さんが誰かに言うかもしれないじゃない。」

「そんなにおしゃべりには思えなかったけど…」

「たった一日でわかるもんですか。それにフラれた腹いせってこともあるかもしれないわよ。」

陽のことを悪く言うのには抵抗があったけど、話の流れ上、仕方がない。
私は心の中で陽に手を合わせた。



「そんなことないだろ。彼女綺麗で魅力的だから、俺なんかにこだわらなくても、彼氏なんてすぐに出来るって。」

やっぱり、樹も陽の魅力には気付いてるんだな。



「ねぇ、なんで私から陽さんに乗り換えないの?
陽さんの方がずっと良いんじゃない?」

「だから。俺は恵理子の内面が好きだって言ってるだろ。」

それって、外見は良くないって言ってることなんだよ。
樹は少しもわかっていない。
そんな風に言われる度に、私がなんとも言えない嫌な気分になることを。



「つまり、陽さんはルックス的にはOKってことよね。
それで気も合えば、最高じゃない?」

「合わないよ。俺と合うのは恵理子だけ。」

「じゃあ、こうしましょう。」

「え?」
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