年下の彼は、なぜだか私にZokkonです。

「ちょっと飲もうよ。」

樹はワインとチーズをテーブルに置いた。



「小日向さん、俺の事話してた？」

やっぱり気にはなるのかな？



「ええ、話してたわ。」

「どんなこと？」

「あなたの好きな人について何か知らないかって、訊かれたわ。」

「それで、打ち明けたの？」

「そんなこと、出来るはずないでしょ！」

「どうして？言えば良いじゃないか。」

「またそんなこと言って…
前に言ったよね。
職場では絶対に隠し通すこと！って。
バレたら、私、バイトやめるからって。」

樹が勝手なことを言うから、私は苛々して、声を荒らげた。



「なんでだよ。
なんで、そんなに隠したがるんだよ。」

「前にも言ったでしょ。
話したら、私達みたいに不自然なカップル、皆が面白がるわ。
話のネタになるくらいなら、私、もうバイトやめる。」

「恵理子は意地が悪いな。
恵理子がバイトやめたら、俺が寂しくなることわかってて、そんなこと言うんだよな。」

樹はワインを飲み干し、またグラスに注いで一気にあおった。
樹はあまりお酒が強くないのに…



「だから、言わなきゃ良いのよ。」

言ったら、話のネタにされるだけじゃなく、きっと樹の評判も下がる。
そんなこと、絶対にさせられない。
樹は何にでも一生懸命で、だからこそ、信頼も厚い人なのに、私の事でその信頼を失うかもしれないんだから。