年下の彼は、なぜだか私にZokkonです。

「じゃあ、よろしくお願いします。」

樹が差し出した片手を陽が強く握り締めた。
そして、その場に立ち上がり…



「皆さん、私、樹トレーナーとお付き合いすることになりました！」

大きな声で、そう宣言した。
一瞬の静寂の後、拍手や冷やかしの口笛が乱れ飛んだ。



陽は、無意識に樹と同じことをやった。
樹は、必死で平静を装ってはいたけれど、動揺しているのがよくわかる。
私も少し遅れて、皆と同じように拍手をした。
それを見て、隣にいた樹が私を睨んだ。



「……やり過ぎだ。」

樹が席に着いた陽に向かって呟いた。



「嫌でしたか？ごめんなさい。
私、あまりに嬉しくて…」

陽は樹とは裏腹に、上機嫌だ。



確かにまずいことになった。
陽と樹が付き合うことを多くの人が知ってしまった。



いや、これは良いことなんだ。
もしも、３ヶ月経って、樹が陽のことを好きにならなくても、別れにくいはずだし、増してや私のことなんて言えるはずがない。



これからは、皆が陽と樹を恋人同士として扱うだろうから、樹もその雰囲気に飲まれて、陽のことをきっと好きになるだろう。