年下の彼は、なぜだか私にZokkonです。
『小日向さんに晩御飯誘われた。
終わったら、家に行くから。』

帰り間際、樹からLINEが届いた。



「恵理子さん!」

「は、陽…どうしたの?」

私は素早く、スマホをバッグの中に隠した。



「早速、初デートよ。
今から、樹トレーナーと晩御飯を食べに行くの!」

「そう。良かったわね。」

「私もまだちょっと信じられない。
昨日の感触だと、まさかこんな急展開があるとは思わなかった。」

「良かったじゃない。楽しんで来てね。」

なんともない振りをして、私はその場を離れた。



自分で決めたことなのに、心の中がざわざわしていた。
たかが食事に行くだけなのに。
このくらいのことで動揺するなんて情けない。



スーパーで買い物をしてる間も、頭の中では一緒に食事をする二人の笑顔が思い浮かび、なんとも言えない寂しさに苛まれた。



(私が望んだ通りになるのよ。
喜ばなきゃ。)



強がって、そんなことを考えてみたけれど、寂しい気持ちはどうにもならなかった。



「あっ!」



ぼんやりしていたせいか、帰り道、段差につまずき、無様に転んだ。
まるで、潰れたカエルだ。



「大丈夫ですか?」

若い女性が手を貸してくれた。



パンツの膝の部分に穴が空き、血が流れていた。



「ありがとうございます。大丈夫です。」

痛かったけど、そう言って起き上がった。
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