年下の彼は、なぜだか私にZokkonです。




「え!」

「何か?」

私は黙ったままで手に視線を落とした。
私の手は、樹に握られている。



「なんだよ。俺達、付き合ってるんだから、手くらい握っても良いだろ。」



(私は付き合うなんて言ってないのに…)



手を繋ぐ私達を、みんながおかしな顔で見ていく。
それは、被害妄想では無いと思う。
恥ずかしいから、私は俯いて歩く。



「あ、東堂君。ちょっとそこの公園に寄って行こうよ。」

「東堂君じゃなくて、い、つ、き!」

「あ、そ、そうだったね。」

私達は、公園のベンチに座った。



そうすることで、とりあえず、公開処刑みたいな手繋ぎからは解放された。
だけど、その代わりになんとも気まずい沈黙が流れた。
樹は、じっと私をみつめてる。



「ど、どうかしたの?」

「え、あぁ。告白して、なんかホッとしたっていうか。
これでもけっこう緊張してたんだぜ。」

「……そうなの?」

樹は黙って頷く。



「なんか、今でもまだ信じられないよ。
恵理子と付き合えるなんて。」

いや、それを言うなら私の方でしょ。



「なんで、私なんかと付き合いたかったの?
私なんて、何の取り柄もないどころか、こんなおばさんなのに。」

「おばさんとか言うなよ。
そんなこと関係ないだろ。」

樹が不機嫌にそう言った。

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