絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
もしかして同類?
小野寺徳香は両手で頬を押さえながら、うっとりと目を細めた。
「やっぱり今日もかっこいいわぁ」
「徳香ちゃん、心の声がダダ漏れしてるよ」
一緒にストレッチをしていた友人の雪乃が、硬い体を必死に曲げながら苦笑いをする。それに比べ、徳香は嬉しそうに体を床に軽く倒した。
「さすが元新体操部は羨ましい」
しかし雪乃の声は全く届いていないようで、徳香は体育館のバスケットコートを走り回る男性たちを瞳を輝かせながら見つめている。
「笹原さん、めちゃくちゃ素敵……」
徳香がずっと目で追っているのは、二つ年上の笹原修司だった。暗めの茶色い髪は短く切られ、目鼻立ちの整った顔は徳香の好みだった。
「笹原さんって彼女いないの?」
「いたら私がこんなの夢中になるはずないじゃない」
「徳香なら略奪愛もありそう」
「……私のこと、どんな目で見てるのよ。人のものを奪ったって、幸せになれるとは思えないし。人のものになる前なら全力で獲りに行くけどね!」
「おおっ、意外と正論でびっくり!」
これは本音だった。というのも、徳香は修司に彼女がいなくても、彼の目が誰を追っているのかを知っていたのだ。
修司の放ったボールがゴールに吸い込まれた途端、コートの中で歓声があがる。修司はチームのメンバーとハイタッチをしていくが、長崎杏とのハイタッチの瞬間、一際嬉しそうな表情になった。
肩までの髪の小柄な女性、あれで私より年上なんて信じられないーー二人は笑い合うと、お喋りをしながら再び走り出す。その姿を見れば、徳香でなくても察しがつくだろう。
笹原さんは長崎さんが好きで、長崎さんも笹原さんが好きに違いないーー人当たりが良くて、誰にでも優しい彼女を嫌いな人なんていなかった。
「やっぱり今日もかっこいいわぁ」
「徳香ちゃん、心の声がダダ漏れしてるよ」
一緒にストレッチをしていた友人の雪乃が、硬い体を必死に曲げながら苦笑いをする。それに比べ、徳香は嬉しそうに体を床に軽く倒した。
「さすが元新体操部は羨ましい」
しかし雪乃の声は全く届いていないようで、徳香は体育館のバスケットコートを走り回る男性たちを瞳を輝かせながら見つめている。
「笹原さん、めちゃくちゃ素敵……」
徳香がずっと目で追っているのは、二つ年上の笹原修司だった。暗めの茶色い髪は短く切られ、目鼻立ちの整った顔は徳香の好みだった。
「笹原さんって彼女いないの?」
「いたら私がこんなの夢中になるはずないじゃない」
「徳香なら略奪愛もありそう」
「……私のこと、どんな目で見てるのよ。人のものを奪ったって、幸せになれるとは思えないし。人のものになる前なら全力で獲りに行くけどね!」
「おおっ、意外と正論でびっくり!」
これは本音だった。というのも、徳香は修司に彼女がいなくても、彼の目が誰を追っているのかを知っていたのだ。
修司の放ったボールがゴールに吸い込まれた途端、コートの中で歓声があがる。修司はチームのメンバーとハイタッチをしていくが、長崎杏とのハイタッチの瞬間、一際嬉しそうな表情になった。
肩までの髪の小柄な女性、あれで私より年上なんて信じられないーー二人は笑い合うと、お喋りをしながら再び走り出す。その姿を見れば、徳香でなくても察しがつくだろう。
笹原さんは長崎さんが好きで、長崎さんも笹原さんが好きに違いないーー人当たりが良くて、誰にでも優しい彼女を嫌いな人なんていなかった。