絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
背後から聞こえた笑い声に、徳香は驚いたように肩を震わせ、信久に笑顔を向けた。
「やっぱり幼稚園から一緒だから? すごく仲良しな感じ」
「まぁ長い付き合いだからね」
「へぇ、幼馴染ってやつだね。なんかいいな」
徳香が席に戻ると、先ほどの男はもう別の女性に声をかけていた。どうせ誰でも良かったわけねーー呆れたものの、いなくなっていたことに対して安堵する。
椅子にかけてあった薄手のコートを手に取り、隣の席の雪乃の肩を叩く。振り返った雪乃は、信久を見て苦笑いをした。
「やっぱりそうなっちゃうんだ」
「どういうこと?」
「なんでもない。もう帰るの?」
「うん、ちょっと飲み過ぎたし、信久が送ってくれるって言うから」
徳香が財布からお金を出して雪乃に渡すのを見ながら、信久は徳香を守るようにピタリとそばに立つ。すると雪乃と目が合った。
「わかった。気をつけてね。松重さんも、送り狼にならないように!」
「やだ、雪乃ったら。信久はそんなタイプじゃないから大丈夫だよ」
徳香の言葉を聞いた雪乃と信久は顔を見合わせると、お互い苦笑した。わかっていないのは本人だけなのだ。
「じゃあまた連絡するね」
こんなに信頼されているのも複雑な気分だなーー徳香は雪乃に手を振る隣で、信久は小さなため息をついた。