お見合い婚にも初夜は必要ですか?【コミック追加エピソード】
「私がファンだから、サービスしてくれただけだよ。ファンサがすごい人なんだって、前に言ったじゃない」
「ファンだったら、親しくしてもいいのか? メールのやりとりも何度かしているんだろう? 彼がそうだとは言わないけれど、自分に好意を持って近づいてくるファンを食い物にする男はいくらでもいる。雫は危機感が足りないんじゃないか?」
「兆くんはそんな人じゃない」
「きみに彼の何がわかるんだい? それとも、もうそんなに親しい仲なのか?」

雫が憤慨と言葉にならない怒りで目を潤ませた。雫の不貞なんかこれっぽっちも疑っていない。だけど、雫の気持ちが彼に向いていることが面白くないのは、隠しようもない事実だ。

「高晴さんは……人のこと言えるの?」
「え?」

雫がぎりっと俺を睨んだ。手の中のスマホを握りしめている。
俺が何をしたというのだろう。しばし、無言で俺たちは対峙した。



< 22 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop