秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
 余韻を楽しむようにしばらくそのままでいたが、「体が冷えちゃうな」とようやく大雅が体を起こした。
 名残惜しいがいつまでもこのままでいるわけにもいかず、私もそれに倣う。

 初めてではないのに、なんだか気恥ずかしくて彼の方を見られない。うつむきながら立ち上がったところ、足元がふらついてよろけてしまった。

「おっと。大丈夫?」

 とっさに伸ばされた逞しい腕が、私を支えてくれる。

「う、うん」

「いや、ひとりじゃ無理だな。このまま一緒にシャワーを浴びに行くよ」

 それはまさしくあの夜の再現のようで、いろいろと思い出して頬を赤らめた。
 大雅も同じように考えていたのか、途端に慌てだす。

「き、今日はもうしないから。それに、陽太ともっと打ち解け合ってからじゃないと、二人目は考えられないし」

 陽太を妊娠したのは、きっとお風呂場での行為だと彼もわかっているのだろう。具体的にそれを指摘したわけじゃなかったのに、意識しすぎた大雅はポロリと本音を明かした。

「そうだね」

 陽太を一番に考えれば、私もすぐに二人目をとは思えない。あの子が父親の存在や新しい環境に慣れて、私にも余裕ができてからだ。

 そのまま〝仲良く〟シャワーを浴び終えると、陽太を挟んで体を横たえた。
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