秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
 翌朝、目を覚ますと隣で寝ていた陽太はすでに起きており、もぞもぞと体を動かしていた。

 一週間の休みを終えた大雅は、今日から出勤する。
 陽太とふたりで先にリビングに行き、朝食を準備していると、しばらくして大雅が起き出してきた。
 昨夜の久しぶりの行為に顔を合わすのが恥ずかしかったが、憂鬱そうな表情をしている大雅にそれは一瞬にして消えた。

「大雅?」

 一体どうしたのかと、彼の顔を覗き込む。

「仕事に行きたくない」

「え?」

 暗い声を出す大雅とは正反対に、明るい調子の歌がテレビから聞こえてくる。その前では、陽太が楽しそうにぴょんぴょんと体を動かしている。
 それに気づいた大雅が、恨めしそうに陽太を見た。

「俺、こんなに仕事に行きたくないのは初めてだ。もっとふたりと一緒にいたい」

 私より年上の大雅がやっぱりかわいくて、遠慮なくぎゅっと抱きしめる。

「もっと一緒にいたいのは、私も同じよ。美味しい夕飯を作って待ってるからね」

「千香!」

 感極まったような声を上げて、力いっぱい抱きしめ返される。

「た、大雅?」

 そのまま肩に顔を埋めると、ぐりぐりと額を押し付けてきた。

「うん。一分でも早く帰れるように頑張るよ」

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