秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
「あなたは、私を一度でも自分の娘だと思ったことはありますか?」

 私の問いかけに眉間にしわを寄せた父から目を逸らさず、さらに続ける。

「私は一度だって、あなたからの愛を感じた覚えはありません。当然、母からもです。幼い頃からずっと、私は蚊帳の外に置かれてきました。大切にされるのはいつだって姉だけで、私は家を支える都合のよい駒でしかなかった」

「なにを言うか」

「事実です。これ以上、私はあなたたち家族に振り回されたくありません」

 次第に忌々しそうな表情に変わっていく父を、睨むように見つめ続けて言い切った。
 やはりここでも、〝お前も家族だ〟とは言ってもらえないのだと、再確認させられた。

「佐々木さん、実の娘がここまで言ってるんですよ。身に覚えがあるでしょ」

 ぐっと黙り込んだところを見ると、自覚ぐらいはあったらしい。
 さっきまでの態度は、もしかして虚勢を張っていただけなのかもしれない。

「仕方が、ないんだよ。梨香がどうしてもと、君を望むんだ。あの子の希望は美鈴の希望も同然。そうならば、私はどうしたって叶えてやりたい」

「おとう、さん?」

 そうか。この人がこうも意味不明な主張を押し通そうとするのは、梨香ではなく母が望むからなのだろう。
 どれほどおかしな要求だったとしても、それが母の願いとなれば父は叶えようとする。たとえそれが、実の娘を家族の中から弾き出そうとするものであっても。

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