攫い



「こんなに分かりやすい痕つけるとか……すごい独占欲。もうとっくに気づいてるよ」


「え……"あと"って……?」


「俺だって欲しいのに。見てるだけとかそろそろおかしくなりそう」




だんだんと辛そうに歪んでいく都の顔。



形の良い瞳がスッ─と細められて




「もう……唐獅子様なんかより先に、俺が攫っちゃおうかな」




腕の中に閉じ込められた。




「ちょっ、なに、都っ?」



さっきとは違う情熱的な抱擁に鼓動がどっと加速する。




「紅羽」


「は、はいっ」


「ふふ、慌ててるの?かわいい」


「笑わ……ないでっ」




脳内が沸騰。
戸惑いのあまりたどたどしい返答しかできない。




「ねぇ、もし……もしさ。今後紅羽の身になにかあったら……2人で逃げちゃおうか」




それは、都らしくないあまりに非現実的な提案だった。



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