攫い


「てことで。帰ろっか紅羽。うるさいのはほっといてさ」




優に手を引かれ、イスから立ちあがる。



思いのほかやさしいその動作に、日々垣間見えるこの男の甘さを感じた。



夏だというのに手のひらの温度は冷たくて、ひんやりと包まれる感触が心地良い。



優は昔から体温が低い。




すると、空いているほうの手に、別の温もりが触れた。




「優がそっち握るなら、俺はこっちの手をもらおうかな」




遊ぶように私の手をすくい取ったのは都だった。



それからぎゅうっとしてくる手のひらは、優とは反対に温かい。



やさしい温度だった。


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