S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

 その夜、ベッドの中で、要さんは思い出したように言った。

「来週の金曜の夜、俺の祖父の誕生日パーティーがある。参加してくれないか」
「私も参加していいんですか?」
「もちろんだ。連れて来いとうるさいくらいだ」
「でも、総帥のパーティーってことは、会社の人もいますか……?」

 私は思い出して言う。
 もしそうなら、ふるまいに気を付けないといけない。部長の部下、として参加すると言ったところだろうか。
 そう思って言うと、要さんは首を横に振った。

「今回は本当に身内だけの会だから。七瀬会長はくるそうだ」
「そうなの?」

 思わず声をあげてしまう。七瀬会長とは私の祖父のことだ。
 結婚してから数回電話しただけで、直接会ってないので、会えるのは嬉しい。

 厳しい祖父だけど、ずっと一緒に住んでいて、これまで一番長い時間を共有した。
 年齢も年齢だし、心配でもある。祖父にはいつまでも元気でいてほしい。

「ドレスもヘアメイクもこちらで手配するし、会社からそのまま会場のホテルに来ればいいから。それで、その日は、そのままそこのホテルに泊まろう」
「やったぁ!」

 私ははしゃいでしまう。
 この前は出張での宿泊だったけど、今回は完全なプライベートの宿泊。

 要さんと旅行って感じで、嬉しい。
 でも、旅行ってことは……。

 そう思って要さんをちらりと見る。
 要さんは私の目線に気づき、私の髪を撫でる。

 それからまた当たり前みたいに二人の唇が重なった。

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