S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

 私はむっとしてもう一度要さんを睨むと、念押しするように言った。

「……今度舌入れたら、もう一緒には寝ませんからね」
「それは辛いな」

 要さんが心底困ったように苦笑する。
 その顔を見ると、キュン、と胸の奥が音を立てる。どうしたの、心臓。誤作動を起こしすぎじゃない?

 要さんが少しして諦めたように、わかったよ、と言い、私はその声に頷く。

 要さんをチラリと見ると、要さんは微笑んで両手をのばした。

 ほら、自分からして? というように。

 私はまた少しむっとしたけど、しないと解放されないのがわかっているので、いつも自分からするときのように要さんに向かい合わせになって、要さんの太ももの上に、失礼します、と言って座る。

 それから、要さんの両肩に手を置いて、目の前の精悍な顔立ちに目を向けた。

 でもなぜか、今日の要さんは目を瞑っていてくれてなくて、目がしっかりと合う。

(なんだかすごく気まずい……)
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