S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

「……どういう意味ですか。他に何が必要なんですか」
「そういえば、ここに私を連れてきてくれた女の子な」
「また話をそらして……」

「そらしてなどいない。相手はあんな子がいいぞ。いつか礼もかねてお前に会わせたいが、頑なに連絡先は教えてくれなかった。服を買い替える費用の話すら、頑なに拒否された。しかもその理由が『おこずかいの使い道がないからちょうどいい』だと言ってな」

 祖父は楽しそうに微笑む。そうやって笑う祖父の顔を久しぶりに見た。
 その子は、倒れた祖父を見て動けない周りとは対照的に、血がつくのも服が汚れるのも全く厭わず、救急車を呼び、さらに病院まで一緒に付き添ってくれたらしい。

「もしかして白いワンピースを着た女の子ですか? 高校生くらいの。その子なら、七瀬モーターズの会長と一緒でしたよ」
「話したのか?」
「見かけただけです」

 そういうと、祖父は顎に手を当てる。

「七瀬モーターズ……か。家柄も悪くないな……」

(まさかあの子との見合いなんて話をしようとするんじゃないだろうな……)

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