S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

 なんとなく嫌な予感がして、眉を寄せ口を開く。

「何を本気で考えているんですか。まだ高校生くらいでしょう」
「良家の子女ともなると、婚約も早い。見合いだって、すでに行われている可能性だってある」

「……かわいそうですね」

 そう思わず言っていた。
 あの子は、すでに未来が決まっているんだろうか。自分で選ぶこともできない未来が。

 そう思っていると、祖父は首をかしげる。

「そうか? そぐわない相手と結婚し、会社や社員の家族を巻き込んでまで不安定な未来を歩くほうがよほどかわいそうだろう。少なくとも、周りを不幸にするようなことを望むようなタイプの娘には見えなかったが」
「……まぁ、確かに」

 白い服なのに、まったく気にせず血を流した祖父を助けた子。
 七瀬会長との会話でも、自分のことより、誰かの反応を気にしていたような……。

 そう考えるとなんだかおかしくなって、ふっと口角が上がった。
 それを見て、祖父が言う。

「なんだ、要も感触は悪くないのか」
「何を言ってるんですか。とにかく、治す方に専念して下さい」
「もう大丈夫だそうだ。そのまま退院も可能だと言われている」
「なら何故呼んだんですか……」

 そうだ、病院に呼ばれて驚いて飛ばしてきたんだぞ……。

「まぁ……年寄りの勘を確かめたくてな」

 そう言って祖父は微笑み、
 それから少し経った頃、祖父はいつの間にか七瀬会長と将棋仲間になっていた。

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