S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

 それから不思議と、仕事で何かあるたびあの子の顔が頭をよぎる日が増えた。

 さすがに年下相手にまずいだろうと、彼女に面影の似た女性に言い寄られたら一晩をともにしたりもしたが、不思議と相手に一ミリも心が動かない。
 それどころか、さらに彼女を思い出すのだから、相当やばいと思った。

 そして、そうこうしているうちに、北条ホールディングスの新卒採用の最終面接で彼女に再会する。

 彼女は俺を見て少し表情を変えたけどすぐに表情を戻したので、俺を覚えていたのかどうか自分には分からなかった。

 ただ、その頃にはあの駅での出来事からすでに5年以上経過していたので覚えていなくとも不思議ではないと思った。

 それでも、それだけ時が経っていても……

 こうして彼女の顔を見るだけでこれだけ心が揺れ動かされるのは、
 間違いなく自分が彼女に恋なんてものをしているのだろうと、やけに腑に落ちた瞬間だった。
< 254 / 283 >

この作品をシェア

pagetop