S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

 そんな私に要さんは続ける。

「それじゃ、キスも初めてか?」
「……キスくらい……海外留学していたときに何度か」
「頬にだろ?」
「えぇ、そうですけど。それが何か?」

 私がむっとして返すと、要さんは目を細める。
 それから、私の腰に手を回すと、自分の方に引き寄せた。

「こちらにおいで」

 そう言ったと思うと、すっぽりと抱きしめられる。

「……あ、あの……? これが勉強?」

 そう言ったとき、要さんが私の頬を撫で、それから私の顎に手をかけて自分の方を向かせた。
 要さんとこんなに間近で目が合うと、なんだか少しだけドキドキとしてくる。

「今日の勉強。こういう時は、目を瞑るんだ」
「目を? こうですか」

 もう言われたとおりにしよう。
 これまでの習い事の経験を振り返っても、講師の言ったことをきちんとこなしていけば、大抵のことはうまくいったのだ。
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