S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

 すると、少し驚いた顔をして要さんがこちらを見ていた。

「いろは、なぜ泣いてる?」
「わ、わかんないんです」

 言葉が出ない理由は、自分の嗚咽だったようだ。
 要さんの言葉に、自分が泣いてる事にも気づいた。

 でも、結局、なぜ泣いているのか訳の分からないまま私は泣き続けた。

「いろは」

 抱きしめられる腕に力が籠る。
 でもそうされると、さらに泣けてきた。

「今日はこのままこうしていてもいい?」

(抱きしめる、だけ?)

「……キスもしてほしい、です」

 思わずそんなことを口走ると、要さんは私の肩を持ち、少し私を離して驚いたように私の目を見た。
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