白蛇と猟師
「…人違いか…突然すまない…。それで、俺に何の用だ…?」

彼が優しく娘にそう声を掛けると、娘は悲しげに言った。

「…すみません…あなたを、知っている気がしたのです…。私は気が付けば自分のこともどこから来たのかも何も覚えておらず、途方に暮れていて……」

娘はさめざめと泣き出す。

男にはその姿が、出会った頃に自分の過ちに泣いていた白蛇と重なって見えた。

「…うちで良ければ、来るか…?俺しかいないが、思い出すまで居たらいい…」

彼は自分の言葉にゆっくりと頷いた娘を引き連れ、村外れの小屋へ帰っていった。


「…あなたの手は、なんだか優しくて懐かしい気がします…。もう何も思い出せなくとも、あなたがいてくれるのなら何も望むものはありません…」

娘は籠を編みながら、穏やかに笑う男のそばで幸せそうに目を細めた。
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