涙色の死神と巫女と妖怪と
「暑い……干からびそうだ……」

夏休みのある日、開けた窓から入ってくる真夏の日差しを浴びながら肩までかかった、所々に黒いメッシュの入った青髪を1つに結んだ男の子――星川瑠依(ほしかわるい)は、ごろんと畳の上に寝転がる。

「夏だからねぇ。そのまま干からびたら、面白そうだよね」

瑠依を見ながら、ふふっ、と淡い紫色の紙に紫色の目をした男の子――紫藤菫(しどうすみれは)は面白そうに笑う。

「まぁ、今日は猛暑日だし……」

菫と瑠依のやり取りを見ながら、毛先に白いグラデーションがかかった藤色の髪に深い青い目の男の子――八神紫乃(やがみしの)は苦笑した。

「そうだ。昨日、母さんが『紫乃くんと菫くんと一緒に食べてね』って作ってくれたアイスがあるんだった……取ってくる」

そう呟いて瑠依は起き上がると、部屋を出た。



畳の上に座って、瑠依たちは無言でアイスを口に入れる。口に広がるちょうどいい甘さに、瑠依は思わず頬を緩めた。

「……そういや、この近くに巨大なショッピングモールが出来たらしいね。近々、皆で遊びに行きたいな……」

瑠依を無言で見つめていた紫乃は、何かを思い出したかのような顔をして、そう呟く。

「……そういや、そうだっけ……この近くって言っても遠いけどねぇ。確か、最寄り駅から2、3駅くらい乗って、さらに歩かないと駄目なんだっけ?」
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