妖怪ホテルと加齢臭問題(天音と久遠)
自分で営業をかけて、集客するなんて、
絶対に無理と思っていたし、
土地も、二束三文で叩かれるだろう。

ただ、母、祖母の想いの詰まった、愛した旅館を処分するのは
つらい。

特に、紅葉の時期は素晴らしい。
打掛の裾を広げたように、
錦秋の模様が広がる。

しかし、今は
庭の手入れもしていないので、
荒れ果てている。
池の錦鯉たちも、この先どうなるか心配だろう。

ここが廃墟になるのは、時間の
問題だ。

それは・・・
天音にとって、自分の故郷が無くなる事でもある。


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