妖怪ホテルと加齢臭問題(天音と久遠)
久遠は、口を尖らせながら、
言い訳っぽく

「エミリアは、別に、セフレだから・・」
それから、ふっと笑って

「俺、その時、思ったの。
天音ちゃんが、
ジェラシー、感じてくれると
いいなぁって」

こいつは、何を告白しているのか。

天音は、額にしわを寄せて
ずっと、久遠の顔を見つめていた。

「君は森の精霊みたいで、
人になつかなくて、
そんで妖怪ホテルのオーナーで、
めちゃくちゃユニークだよね」

こいつは、何を言いたい?

天音は、より深く額にしわを寄せて顔をしかめた。

「あと、抱きしめた時のサイズ感がいいんだ。
俺にとって、ほっとする感じで」

サイズ感って・・
なに・・それ・・?

「はぁ・・?」

抱きしめたって・・
いつだ?
あの、布団で一緒に寝た時かぁ?

久遠は屈託ない、
子どものような笑顔を天音に向けた。

「だから、あのホテル、
俺に売って?」

「売りません!」
天音はきっぱりと言った。

「うーーん、欲しいんだけど」
久遠が顎に手をやって、うなった。
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