叶わぬ恋だと分かっていても
 私が彼を受け入れることは、私が全面的になおちゃんのことを許してくれているという気持ちになれるんだとなおちゃんは言う。

「私、いつもなおちゃんのこと、避けたりしてないし……今の関係のままなこと、怒ったりもしてないよ?」

 そりゃあ、悲しいと思う時も寂しいと思う時もあるけれど。

 だって、世間一般で言えば私だって結婚してもいい年頃だ。

 普通の恋愛みたいに、大好きな彼との幸せな未来を夢見る気持ちは人一倍ある。

 だけど――。

 もしもそういう全てを叶えられないとしても、それでも私は……いいえ、私自身が、なおちゃんといることを選んだのだから仕方ないとも思っているの。


「有難う、菜乃香(なのか)

 ギュッとなおちゃんに抱きしめられた途端、私の中に受け入れたままの彼がピクッと跳ねて質量を増した。

 彼に、異性として求められているというその感覚に、私は無意識に「んっ」と小さく声を漏らして。

「ね、なおちゃん。お願い。今日は……」

 ――ちゃんと最後までして欲しい。

 ただ、こうして私の中に《《いる》》だけじゃなく、男女の行為をしているんだと実感させて?
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