叶わぬ恋だと分かっていても
Prologue
「やっ、ん。緒川(おがわ)さんの……嘘、つきっ」


 生まれて初めて入った、ラブホテル。

 そんなところに異性と一緒に入れば、〝そういう事〟になるなんて容易に推察できたはずなのに。


 恋愛経験の乏しい小娘の私は、15も年の離れた男性の性事情にとても(うと)くて。


 勝手にそのぐらいの年齢になったら、女性に対してガツガツしなくなる。
 もしかしたら不能にさえなっているんじゃないかなんて馬鹿なことを思っていた。

 そんなわけ、ないのに――。
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