剣と涙〜悲しみの連鎖を断ち切って〜
「悪霊が全く消えない……!」

祓った感覚はあるのだが、悪霊が祓っても祓ってもどこからか姿を見せる。祓ってもキリがない。

「どうなってるんだ?」

菫が苛立ちを見せ、瑠依たちもいつもの依頼とは全く違う状況に戸惑い始める。すると、階段の方からズルズルと何かを引きずるような音が聞こえてきた。

沙月たちがそちらに顔を向けると、血だらけの白いワンピースを着た女性が階段を這ってやって来る。恐らくこの霊が親玉であり、悪霊を寄せ付けているのだろう。

女性の霊は、淀んだ目で階段の近くにいた沙月を見つめる。そして、真っ直ぐに沙月に近付いてきた。

「沙月!!」

葉月、そして瑠依たち、妖たちは沙月を女性の霊から助けようと走る。だが、それを邪魔するかのように悪霊たちがまた現れ、道を塞ぐ。

沙月は恐怖から指一本すら動かせなかった。女性の霊に腕を掴まれ、顔を覗き込まれる。刹那、沙月の頭を謎の痛みが襲った。

「うっ……ああっ……!」
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