剣と涙〜悲しみの連鎖を断ち切って〜
立っていられない痛みに、沙月はその場に倒れ込む。葉月たちが心配する声がしたものの、言葉を返すことができない。

倒れ込んだ沙月に女性の霊は触れる。お雪やつららよりも冷たい手だ。温かい血が一滴もなく、骨張って青白い。

沙月の意識が痛みにより、だんだんとぼんやりし始める。目の前の景色が歪み、沙月の瞳から涙が一滴溢れた。

意識を失う直前、沙月は聞き覚えのない女性の声を耳にした。恐らく、女性の霊のものだろう。

『……助けて……』

その声が聞こえたのを最後に、沙月の意識は完全に飛んだ。











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