剣と涙〜悲しみの連鎖を断ち切って〜
キングがヴァイオリンやフレンチホルンを妖気を操って演奏し、朧と水月は琴と三味線を弾く。お雪と桜姫が雪の結晶と桜の花びらを辺りに散らせる中、瑠依たちはニコニコと笑って踊っていた。

「一緒に踊ろう!」

紫乃が声をかけ、悪霊の手を引っ張って踊り出す。音楽も、ダンスも、何もかもがバラバラだ。だが、瑠依は楽しさを胸の内に感じている。

「さあ、一緒に歌いましょう!」

「こっちに来いよ」

沙月と葉月が屋敷の中にいる悪霊たちに声をかけ、妖が音楽を奏でている外へと連れ出す。その中には、沙月を襲った女性の霊もいた。

まるでパーティーのように明るい雰囲気の中、悪霊たちの姿が悍ましい化け物のような姿から人の姿へと変わっていく。そして、その目には涙があった。

『……ずっと、ずっと苦しかったよ……』

『やっと天国へ行ける……』

『ありがとう』

『嬉しい』

悪霊たちは光に包まれ、一人、また一人と姿を消していく。それを見て瑠依と沙月は顔を見合わせ、微笑んだ。
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