西陽のあたる部屋で
「きみの声」
「えっ」
「きみの声は素敵だね」
「そう。ありがとう」
「若さゆえの張り、と同時に成熟した甘さがそこにある」
「ふうん。よくわからないけど」

三十路が若いと、はたして言えるのかどうか。清潔感のあるショートヘア、そのところどころに白いものが混じる彼にとってはそうなのだろう。
< 2 / 10 >

この作品をシェア

pagetop