雪のとなりに、春。
8 昔の話でしょ
*奈冷side*

「はじめまして!! 雪杜くんとお付き合いさせていただいています、小日向花暖です!!」


最近いろんなことが起きているので、突然の両親の帰宅に思わずため息をついていたとき。

ずかずか入ってきた女性が俺の母親だとすぐに理解した花暖先輩の声がリビングに響く。

そんな花暖先輩を見て、母さんは嬉しそうに目をキラキラと輝かせている。

ああ、そうだ、こういう人だった。


「奈冷の彼女!? ワオ!! キュートすぎない!?」

「お母様もとってもお綺麗でっ!! お会いできて嬉しいですっ!!」


似たもの同士の2人は一瞬で意気投合した様子で、手を取り合って一緒にぴょんぴょん跳ねている。

きつい香水の香りが鼻を刺激した。どうやら趣味も変わっていなかったみたいだ。

またもやため息をついていたとき、大きな陰がすぐ目の前に現れて視線を上げる。


「……父さん」


何年ぶりだろう。ざっと10年は経っただろうか。
目や口元の線がその年月を感じさせる。
口角がゆっくりと上がって、ただでさえ細い目元が更に細められる。


「久しぶりだな、奈冷」


間違いなく、憧れていた。
小さい頃からずっと。


「……久しぶり」


会えたら、どんなことを話したらいいかわからなくて声すら上手く出せないんじゃないかと心配になったこともあった。

……けど、思ったよりもスムーズに言葉が出てきて、ほっとした。

向こうでの生活はどうなのとか、なんで急に帰国したのとか、聞きたいことは山ほどある。

はやる気持ちを抑えて、俺も口角を上げた。

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