離縁するはずが、冷徹御曹司は娶り落とした政略妻を甘く愛でる
エピローグ
◆エピローグ





 
「一時はどうなることかと思いましたが、無事丸く収まってよかったです」
 
 そう言って微笑むのは、忍さんの秘書の岩木さんだ。
 
「いろいろご迷惑をおかけしてすみませんでした」
 
 私が頭を下げると、忍さんが「琴子が迷惑をかけたわけじゃないんだから、謝る必要はない」と言う。
 
「えぇ。副社長には迷惑をかけられっぱなしですがね」
「なんのことだ」
「さぁ」
 
 そんなふたりのやりとりをハラハラしながら見守っていると、「さて」と岩木さんが眼鏡を押し上げた。
 
「ではさっそく、おふたりの結婚披露宴の予定を立てましょうか」
 
 急に切り替えて事務的になる。
 
 さすが有能な秘書さんだ。
 
 今日は日曜日でお仕事はお休みだけど、岩木さんは私たちの自宅に来てくれていた。
 
 結婚披露宴の予定を話し合うためだ。
 
 結婚はふたりのものとはいえ、今回の披露宴には忍さんの会社関係や父と親しくしている政治家たちもたくさんやってくる。
 
 ものすごく豪華な披露宴になりそうだ。
 
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