離縁するはずが、冷徹御曹司は娶り落とした政略妻を甘く愛でる
「今更やっぱり怖いと言っても、もう遅いぞ」
 
 低く甘い声でささやかれ、私は緊張で震える息を吐きながらうなずいた。
 
 怖くなんてない。
 忍さんになら、なにをされてもいい。
 
 そう思った。
  


 


  
 忍さんが連れてきてくれたのは、高級ホテルだった。

 しかも、たぶんとても高いお部屋。
 
 でも、そんな豪華な部屋のインテリアや眺望を楽しむ余裕はなかった。
 
 部屋に入り扉が閉まった途端、彼が私の体を壁に押しつけ激しいキスをする。
 
「んん……」
 
 唇から、甘えた声がもれた。
 
 唇を触れ合わせ舌を絡ませるだけで、体の奥がとろけてしまいそうなほど気持ちいい。
 
 キスに夢中になっていると、大きな手が私の腰に触れた。
 
 丈の短いカットソーのすそから、指先が服の中に入っていく。
 
「あ……っ、忍さん……」
 
 直接肌をなでられ、驚きで体が跳ねてしまった。
 
「どうした?」
 
 忍さんは驚く私を見ながら意地悪にたずねる。
 
 その間もしのびこんだ手は動き、背中のホックが外された。

 無防備になった胸を大きな手が包む。
 
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