離縁するはずが、冷徹御曹司は娶り落とした政略妻を甘く愛でる
「今日は帰りたくないです。このままずっと一緒にいたい」
「帰りたくないって。ちゃんと意味をわかって言っているのか?」
「わかってます」
 
 涙声でそう言った私を、忍さんは真剣な表情で見つめる。
 
 切羽詰まった表情で見つめ返すと、彼は小さく笑った。
 
「……どうだか」
 
 忍さんはそう言って、私の腰を抱き寄せていた腕をほどいた。
 
 彼が私を子ども扱いして、今の言葉をなかったことにしようとしているのがわかった。
 
 たしかに彼みたいな魅力的な大人の男の人から見れば、私なんてまだまだ未熟で色気もないだろう。
 
 それでも私の真剣さをわかってほしくて食い下がる。
 
「忍さん。抱いてください」
「そういうことは軽々しく言わないほうがいい」
「私はちゃんと真剣に考えて……っ」
 
 私の反論を遮るように、忍さんが大きくため息をついた。
 
 そして、目にかかる髪を乱暴にかきあげこちらを見下ろす。
 
「……せっかくこっちは大人の対応をして、無事に家に帰してやろうと思ったのに」
 
 そう言いながら私を見つめる。
 
 その視線の色っぽさに、ごくりと息をのむ。
 
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