不倫彼氏とデートした夜、交通事故に遭ったら、出逢う前に戻っていました。
来年の夏、マッキーは紗智にプロポーズをし、その年の暮れ、マッキーと紗智は結婚するだろう。

私は天の恵みで奇跡のタイムリープをしたけれど、過去を変えることはできなかった。
いくら美しく着飾って二人の前に現れても、マッキーは誘いの手を伸ばしてこない。

こうなったらマッキー以上の男を捕まえて、見下してやろうか。

でももし、捕まえることができなかったら。
と言うより、見つけることさえできなかったら。

私は溜息をついた。

わかっている。マッキー以上の男なんているわけがない。

だから結局、時を待つ。
タイムリープのトリガーも、どこへ飛ぶかわからない恐さがあるので試さない。
ただ、じっと時を待つ。

そうして二人の結婚半年後のあの日が来たら、私は紗智が不在のマンションを訪ねよう。

その先の未来を私は知っている。

『お義姉さん、紗智は今日同窓会で夜まで帰って来ません。せっかく訪ねてくださったのですから、寄っていきませんか。調度、コーヒーを飲もうと思っていたんです』

タワマンのインターフォンから声がする。

私はマッキーと二人、紗智の好みで飾られた広いリビングでマイセンのカップを挟んで向かい合う。

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