勘違いの恋 思い込みの愛
「パートに出るって言われて、すげぇ困ったよ」

「え? 困った?」

「外に出て色んなもん見たら、お前が俺から完全に離れてしまうような気がしたんだ。『家事と両立できるんなら』って言ったら諦めるかと思ってたら、お前食い下がってくるし……」

晴也の口からは全く見当外れの言葉ばかりが飛び出し、梨花の頭は混乱した。

「お前パート始めてからすげぇ楽しそうだし、俺にも優しくなったし、どっかで浮気してんじゃないかって疑って、何度かこっそり店まで行ったんだ」

「えーっ!? やだ、やめてよ!」

「……ごめん。でも、仕事だって言って出掛けた日は、ちゃんと店の前にお前の自転車が停まってて、店の中にはお前もいて、安心したんだ」

「当たり前じゃない! で? 要するに晴也は何が言いたいの? 私にパートを辞めろって言ってる?」

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