勘違いの恋 思い込みの愛
その夜、数ヶ月ぶりに晴也と身体を重ねた。
ソファーで寛いでいるうちに、そういう雰囲気になり、どちらからともなく唇を合わせ、そのまま流れるように事に及んだ。
結婚してから少しずつ変わってしまった晴也だが、決して晴也のことが嫌いになった訳ではない梨花が、拒む理由はなかった。
病みあがりだというのに、一体どうしたのだろう、と梨花は不思議に思っていた。

翌朝、珍しく玄関まで見送りに来た晴也に抱きしめられ、唇を重ねる。

「気を付けて」

「うん、行ってきます」

ドアが閉まると、梨花は小さく息を吐いた。
高鳴る鼓動は誰のせいだろう。

レジに立ち、朝のラッシュもものともせず、梨花は彼の来店を待ち焦がれていた。

「おはよう」

――来た!

いつもはレジ前で挨拶する彼が、今日はドアを開けるなり梨花に視線を向けて言った。

「おはようございます!」

すかさず梨花も笑顔で返した。
今日は珍しく時間をかけてパンを選ぶ彼の姿を、梨花はカウンターの中からじっと見つめていた。やがて彼が梨花の待つレジの前に立った。
彼のトレーには十個程のパンとカフェオレが二本、そしていちごミルクが一本のっていた。

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