天ノ川の下で



放課後…帰り道…海の匂い…太陽の光…


海岸沿いを歩くのが好きで毎日ここを通って帰る。


まだ6月に入ったばかりなのに酷く暑い。


「はぁ…暑いな。」


海ではしゃぐ子供たちの声が聞こえる。
暑いのに元気だなと思いつつ子供たちの方に目をやる。


今日は私も下に降りてみよっかな…

階段を降りて砂浜に寝転がる。


「眩しい…でもすごく綺麗。」



そう思っていると目の前が急に暗くなった。
太陽に被るよう男の子が上から私の顔を見てくる。

「何!?あなた誰よ!」

私が叫ぶと男の子は慌ててどいた。

「ごめん!こんなとこで寝てたから熱中症にでもなったのかと思って!」


私を心配してくれたのか…

「心配してくれてありがとう。」

男の子は少し照れたような顔で笑ってから言う。

「なぁ。ここから見る天ノ川ってすごく綺麗なんだぜ?知ってるか?」


「知ってる。毎年ここで見るの。」


そう。ここは天ノ川がとても綺麗に見える場所で知っている人は毎年見に来る。


「なんだ…知ってんのか。でも俺、毎年来てるけどお前のこと1度も見たことない。」


男の子は残念そうな顔をしてから言ってきた。


「私いつも特等席で見てるの。私だけしか知らない特別な場所。」

「へー。いいな。あっ俺、太陽っていうんだ。お前は?」

「…月乃。」

彼の名前を聞いて思った。私たち『反対』だって

突然彼が笑いだした。

「俺たち反対じゃん!月と太陽って…!」

私も自然と笑いがこぼれた。
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